ふたりが歩んだ 新美家の二十五年展
今回は、大学を卒業して就職した早紀さん(ハモンのスタッフのひとりです)が、共働きの親御さんへおくった写真展をご紹介します。
伝えたかったのは、親御さんへの感謝と尊敬の気持ち。
親御さんは、創業83年の宝飾店を経営しているそうで、毎日忙しくいつも見ているのは働く姿ばかりだったそうです。小さい頃は、寂しく感じることもあったとか。
一方早紀さんは、大学を卒業して就職し、仕事に向き合う中で、83年も会社が続くのがどれだけすごいことか。それはご両親の苦労と弛まぬ努力があったからこそだ、と親を深く尊敬するようになったそうです。
早紀さんは、3人兄弟ですが、3人をここまで何不自由なく育ててくれたことやどんな決断にも反対せず応援してくれたことにも、とても感謝していました。
今回は、そんなキモチを伝えるための写真展としてスタートしました。
ご両親とのこれまでを振り返っていきます
まず、写真展のコンセプトを決めます。そのために、これまでお父さんお母さんと過ごした時間を、スタッフとともに、ゆっくりふりかえっていきました。すると、早紀さんはこんなことを想い出していました。
・ふたりは、忙しい日々の中でも、お店の定休日である水曜日にいろんなところへ連れて行ってくれたこと
・兄弟の誕生日は、必ず近くの不二家へ行き、ケーキでお祝いしてもらっていたこと
・高校のときにお父さんと喧嘩し、そこから素直に話せなくなった気がして、未だにそれが心にひっかかっていること
・20歳の誕生日に、お母さんから指輪をもらったが、それは早紀さんが生まれてすぐ、20年後のために用意してくれていたこと
改めてふりかえり、忘れていたことを沢山想い出したようです。
そして、新しく、こんなことにも気づきました。
・お父さんは、いつも欠かさずニュースやビジネス本をチェックしているけど、そのお父さんの努力がお店を支えているということ。
・お母さんは、なぜかいつもまわりのひとに愛され助けられて生きているが、それはお母さんの天性であり、さらに自分もその性格を受け継いでいること。
これらのように、時間をとって考えることで、沢山の気付きがあったようです。親御さんへ感謝の念が深まり、涙しそうなシーンも。
そして、上記をふまえ、写真展のコンセプトを定めました。
経営や子育てなど、懸命に努力した25年。
ご両親に、その時間を改めて振り返ってもらい
「自分たちはこれまで頑張った、よくやった。」
と、自身を称えられるような写真展へ。
そして、写真展のタイトルはこちら。
「ふたりが歩んだ新美家の二十五年展」
写真選びにも、こだわりを。
実家から持ってきた大量のアルバムを嬉しそうに眺める早紀さん。
コンセプトを実現するために、下のような観点で、展示する写真を選んでいきました。
・25年の時間の流れを感じるように、時系列で
・ふたりが色んなところへ連れて行ってくれたことを想い出すもの
・成長を感じてもらうため、三兄弟の昔と今の写真を並べる
これらもすべて、ふたりに「自分たちは25年もの間、子育てや仕事を懸命に成し遂げた」と感じてもらうためです。
想いをこめて、写真展をつくっていきます
今回会場に選んだのは、名古屋駅近くのアートギャラリー。
内装はぬくもりある空間になっています。
おふたりに25年を深く味わってもらうため、いくつかの展示コーナーをつくりたかったため、2部屋使用しました。
早紀さんは「自分でも写真展をつくりたい」と言い、朝早く来て、スタッフと一緒に一生懸命設営をされていました。照明や音響にもこだわります。
三兄弟の末っ子である弟さんも合流して、最後の仕上げを行っていきます。弟さんは学期末のテスト中だったそうですが、家族の大事な時間のため、駆けつけてくださいました。(長男は留学中のため欠席でした)
ついに写真展が完成しました
完成した写真展がこちらです。まず、こちらが1部屋目。こちらには、「三兄弟が生まれてからこれまで」の写真を展示しました。
展示の1枚目は、写真ではなく、早紀さんからのメッセージを。
小さいころの三兄弟の写真。一枚一枚に、メッセージを添えます。
「新美家三人兄弟。性格も進む道も三者三様だね。」
つづいて、こちらが2部屋目の完成模様。
当日急遽「アルバムに入っていた小さい写真も全部飾りたい」という早紀さんのご要望で、それらもすべてを展示できるスペースを設けました。
展示のクライマックスは、三兄弟の「昔と今」
ご両親が展示を見てたどりつく最後のコーナーには、三兄弟の成長を感じてもらうため、小さい頃と、今を比較できる写真を展示しました。「立派に成長したなぁ」「自分たちの子育ては間違っていなかった。」そう感じてもらうためのものです。
こちらが末っ子くんの昔と今。
こちらが長男の昔と今。
そしてこちらが早紀さんの昔と今です。
写真の下には、ひとりひとりからの手紙を添えて。
親御さんが到着。大切な瞬間。
さて、いよいよご両親が到着されました。結婚記念日のお祝いとしてお呼びしており、写真展という旨はお知らせしていません。サプライズで行ったため、到着されて看板を見て、とても驚かれていました。
そして、中に入ると、これまですごしてきた25年間の愛しい写真が。お母さまは部屋に入るなり、大変涙されていました。
おふたりは、とてもとてもゆっくり一枚一枚の写真をじっくり味わっていました。
1部屋目を見終わり、2部屋目のご用意もございますとお声がけしたところ「もう胸がいっぱいです・・・」とお母さま。
2部屋目に進まれて、沢山の写真が待ち受けていましたが、こちらも1枚ずつ、おふたりで会話しながらじっくりじっくりご覧になっていました。
そして、最後の写真。子どもたちの「昔と今」。
大変感銘を受けたようで、写真の前に立って、しばらく見入っていました。お手紙も、ゆっくりゆっくり読んで。
写真だけじゃない。まだまだ続く、大切な時間。
写真展を一通り見終わったあと、これで終わりではなく、まだまだプログラムを用意しておりました。
まず、早紀さんと弟さんが入場。花束を渡して、ご自身の気持ちを伝えました。
手紙じゃなくて、口頭で伝えるのってとても照れくさいし難しいですが、こんな機会はなかなかつくれないので、是非自分の口で、そのとき伝えたいことを。なかなか伝え合わない素直な気持ちに、みんな涙涙です。
長男は、留学中で写真展に来ることができなかったのですが、テレビ電話をつなぎ、同様に想いを伝えてもらいました。
その後、おじいちゃんおばあちゃんもサプライズで登場。ふたりにお祝いのコメントと、プレゼントを渡しました。
最後に、今日という日を残すため、家族での写真撮影を。
最後に、家族みんなで記念撮影。「いままで25年。そして、これからもっと人生が続く。そのときに、この写真展で感じたことを想い出せるよう、今日という日の写真を。」 これは、早紀さんが絶対にやりたかったことです。
とても、素敵な写真ですね。
「当時の気持ちをたくさん思い出して、涙がとまりませんでした。」
写真展を終えたおふたりから、後日お礼のメッセージをいただきました。それがこちらです。
お母さま :「結婚してから今までは、仕事をはじめなかなか大変で、あまり覚えていなかったのですが、ああして写真を見ると、そのときの気持ちもたくさん思い出して涙がとまりませんでした。そして、あんな風に子どもたちがそれぞれ大きくなり、自分で自分の人生を送っていることが嬉しく、とても幸せに感じました。」
お父さま :「とっても感動的なひとときでした。おかげで昔のいろいろなことを思い出しました。よくもまあ、こんなに可愛い子たちが立て続けに3人も生まれてくれたものです。」
そして、早紀さんからも感想が。
「私自身、写真を選び、メッセージを書きながら、両親がどれだけ愛情をかけて育ててくれたのか、改めて気づきました。恥ずかしくて普段は直接感謝を言えないので、とてもいい機会となりました。これからの家族それぞれがどんな人生を歩んでいくか、とても楽しみです。」
写真展を通して、早紀さんの価値観の変化が。
実は早紀さん。この写真展を実施するまでは
「今のお父さんとお母さんは、一緒にお店を経営していることもあって、仕事の会話ばかり。夫婦でないみたい。退職したらその後は2人きりになるから、もっと仲良くなってほしい」と言っていました。
しかし、写真展を経て、考えが変わったそうです。
「どんな夫婦の形でもいい。どんな会話をしていても、離れたところにいたとしても、元気で幸せなら、なんでもいい。」
どんな形も受容できるようになったという早紀さん。「これからも人生の中でいろんなことが起こると思いますが、1つの考えにとらわれず、全てを柔軟に受け入れられたら、ずっと幸せでいられると思います。」と仰っていました。
編集後記
25年って、長い時間のように思えて、実はあっという間に過ぎ去るのだと思います。日々のなかで、過去を振り返る機会もなかなかありません。
そんな時に、写真展があれば、これまでの人生を深くじっくりと、改めて味わうことができます。写真を見ていると、「こんなことあったな」とか「あのときこんなこと考えてたな」など、いろんな気持ちが蘇ってきます。
さらに、時間を経て自分の価値観も変わっていることが多く、当時は感じていなかったけど、今だから感じる気持ちも出てきます。「あの時は後悔してたけど、あの出来事があってよかったな」とか「必死で考える暇もなかったけど、自分は頑張ったな」など。
改めて考えてみて、「本当に幸せな人生だ」と実感する方が多くいらっしゃいます。おくりもの写真展のよさは、そういうところにあると再認識した写真展でした。すごくパワーのあるこの写真展を、たくさんの人に届けていけるよう、日々精進したいと思っています。
本記事の様子は、是非映像でもご覧ください。2:23の映像です。
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